精神科医と付き合った話

30代女性、主婦です。
25歳の時に人生で1番好きになった人に振られました。もう生きてはいけない程、ぼろぼろになり、精神的に病んでいたのです。働いていても神経障害が起こり、痙攣して座っていられないくらいの体調でした。

 

男女2

その為、クリニックを訪れた所、まさかの出会いがあったのです。痩せ過ぎて入り口で倒れかけた私をそこに勤めている精神科医の先生が助けてくれました。こんな優しい人がいるなんてと一人恋に落ちてしまいました。

仕事終わりで体臭まみれの私の腕を掴んで、ベッドまで運んでくれました。目の前で見たその腕が私よりも厚みがあり、カッコよかったのです。

 

その方は痩せ型で見るからにお洒落な人だったので、彼女か奥さんがいらっしゃるのだろうと諦めていました。
しかし、担当医の先生がいない時に私を受け持ってくれ、沢山話をしていると奥手だと言う事が発覚しました。

 

だから、私の経験上、奥手と言っている男性は、大抵面食いか高嶺の花のような上品な女性を好きになる物だと考え、ある程度一定の距離を保っていました。
優しくしてくれるのも仕事だからだと当たり前の事を口に出して復唱しなければならない程、好きになっていたのです。

 

それまでは失恋の後に親切にされて、コロッと違う人に惚れるなんて最低の人間のやる事だと思っていたのですが、失恋の後程簡単に人を好きになれるケースもないのだと実感しました。

 

彼との出会いから3か月経過して、実りのない他の男性とのデートと言う名の面接試験にも挑戦していました。お互いにタイプで無かったのか、友人に紹介された男性とも上手くいきませんでした。デートの為に服を買い直したり、大好きな臭いにおいの納豆や珍味を我慢したり、自分なりに頑張ったつもりでした。それでも、なかなか運命の人には巡り会えないし、仕事の人間関係は厳しいし、「女性をやめたいです。」と大好きな彼に愚痴ってしまう程でした。

 

その人は女顔で柔らかい雰囲気なのですが、常識があって賢い見解やアドバイスを私にくれました。失恋していない時に会っても、好きになってしまうくらい素敵な男性でした。
同じように通院している女性も明らかに彼がお目当てのようで、モテるのだと遠くの存在のように感じていました。
抱きついたり、顔を真っ赤にして嬉しそうにしている女の子達を見ると羨ましくも、25歳と言う年齢が恨めしかったです。
後10歳若ければ、何にも知らない振りをして私も先生に甘えたいと思ってしまいました。
しかし、彼にはパーソナルスペースと言う物があったようで、付き合ってみてわかったのですが、触られるのが好きな人ではなかったのです。

 

寂しいなと思っていた距離が丁度良かったようで、5か月後に告白されました。
「何にもない、普通の人間でしかない私でいいんですか。」と尋ねた所、「普通で、常識のある子がいいんだよ。」と言われました。

 

意外でした。美人とお似合いなのに容姿よりも、母性が物を言うような闘いだったのです。
付き合ってからも、彼の顔を見るだけで幸せなので道を譲ったり、人を優先させたり、横入りされても何も思わなくなりました。

 

これが本当の幸福な恋愛なのだと体感できて、嬉しかったです。
その人の器が大きかったので、寄り添って彼に合わせて生きて行く事が苦になりませんでした。
どんなに悲しい事があっても、捜し続ければ道はあるのだと実感できる恋愛ができました。